難病を抱えると就職で苦労する?難病のある人が失敗しない仕事の探し方
2024.11.10
「難病を抱えると就職で苦労するの?」
難病とは、国が治療や研究を進めている希少な難治性の疾患です。
難病を患っていても、適切な対応をし、正しい仕事の探し方をすれば、自分に合った就職先や転職先を見つけることも不可能ではありません。
この記事では、難病の定義とはなにか、難病の人向けの仕事の選び方、難病がある人の仕事探しの方法を詳しく解説していきます!
難病とは
難病とは、2015年に施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」によって、以下4つの要素をすべて満たす疾患であると定義されています。
・発病の機構(原因)が明らかでない
・治療方法が確立していない
・希少な疾患である(がん、精神疾患、感染症、アレルギー疾患等、個別の施策体系が確立している疾患は含まれない)
・長期の療養を必要とする
参照:厚生労働省「難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26年法律第50号)」
「難病」と聞くと、「そのまま死んでしまう病気ではないのか」や「寝たきりで起き上がるのもつらい状態になるのではないか」といったイメージを持たれがちですが、それは正しくありません。
実際は、医療の進歩やこれまでの難病対策の成果により、日常生活において全面的な介助を必要とする人は一部で、症状が安定し、ほぼ問題なく日常生活を送る人も増えています。
その一方で完治は未だ難しいことが多く、軽症を維持していても、定期的な通院と服薬等、生活における自己管理が不可欠です。
このような理由から、難病について医療費の負担軽減、治療をしながら社会参加を促し、仕事を得ることができるよう総合的な支援を進めることが国に求められています。
難病を抱える方が苦労する場面
難病を抱える方が苦労する場面や直面しやすい課題として、以下のようなものが挙げられます。
・症状や治療に伴う苦労がある
・日常生活に課題がある
・仕事をする上で課題がある
症状や治療に伴う苦労がある
難病を患っている方は、症状自体から生じる痛みや不快感、また治療のために服用している薬の副作用による身体的な苦しみを抱えています。
また先天的なものではなく、事故や過労によって難病を患った場合、自分が病気を持ったことへのショックや将来への不安など、精神的な苦労を抱えるケースも多いです。
日常生活に課題がある
難病を患っている方は、日常生活においても様々な工夫が必要となります。
例えば、通院のための時間を確保したり、身体への負担が大きくならないよう活動を抑えたりするといったことが挙げられます。
また、食事内容に気を遣わなければならないケースもあり、家族など周囲の理解も必要です。
仕事をする上で課題がある
難病を患うことで、日常生活だけでなく社会生活にも影響が出ることがあります。
上司や同僚の理解が得られない場合、思うように業務を与えてもらえなかったり、人間関係が悪化して精神的な負担が大きくなったりするリスクがあります。
また、難病のことをどこまで伝えるか、理解を得られなかったらどうすればよいか、といった悩みを抱えている方も多いです。
難病のある人が仕事をする上で必要なこと
難病のある人が仕事をするためには、治療や体調管理と仕事を両立させることが不可欠です。
そのためには、以下3つのようなことが大切です。
無理なく活躍できる仕事であること
難病があっても無理なく働ける仕事は「仕事の負荷と回復のバランスが取れる仕事」です。
具体的には、以下のような仕事です。
・身体的に無理がない
・休憩が比較的自由に取りやすい
・疲労回復が十分にできる勤務時間や休日
・通院のための業務調整が可能
こういった仕事は、デスクワークや短時間勤務の仕事などに多く見られます。
ただし、障害者手帳がない場合は、一般求人への応募になります。
また、それぞれの適性や意欲を踏まえた職業相談や職業紹介を受けることや、目指す仕事によっては資格やスキルの習得をしていくことが大切になります。
職場の理解と配慮を得ること
難病のある人が仕事を続けていくためには、体調管理は特に重要です。
多くの難病では、体調の崩れやすさ、疲れやすさや倦怠感、痛みや発熱、集中力の低下などが共通した症状として見られます。
そのため、休暇を柔軟にとれる環境や、体調変化を考慮した仕事方法についての職場の理解と配慮が特に必要です。
疲労の蓄積は他の人からは分かりにくいので、体調管理に課題を感じたときは、一人でつらさを抱え込まず、上司や同僚、会社の産業医などに相談してみましょう。
自己管理と職場での対処スキルを身につけること
難病はそれぞれの疾患ごとに症状が異なり、本人が主治医や職場とよく相談して、どのように両立していけるのかをしっかり考えることが大切です。
職場での業務調整については、できないことだけでなく、自分がどういう役割で職場に貢献できるかについて、上司や同僚ともよく相談して創意工夫していく姿勢も重要です。
参考:障害者職業総合センター 「難病のある人の 雇用管理マニュアル」
難病のある人の仕事の探し方って?
まずは主治医に相談から
難病のある人が仕事をしようと考えた時に、まず行うべきことは主治医に自分が働くことが出来る状態かどうかを見極めてもらうことです。
現在は病状が安定していても、仕事の内容や働き方によっては体調を崩してしまい、仕事を続けることが難しくなることも考えられます。
自分が働こうと思っている職種や、働き方、勤務時間や勤務日数などについて、しっかりと主治医に相談しておきましょう。
今までの勤務経験や課題の整理をする
次に、今までの勤務経験や課題の整理を行います。
これまで就職活動や就職後に、治療と仕事の両立に問題があった場合には、その状況を正確に把握し、次の職場で同じような問題が起こらないよう対策をとっておく必要があります。
就職活動を行う上で難病のある人が悩むことが多い点として、難病があることをオープンにするかどうか、抱えている難病に関する職場からの理解があるかどうかの2点が挙げられます。
難病を抱えていても、どんな働き方なら無理なく働き続けられるのか、どのような状況で体調が崩れやすいのか、職場で体調を崩したときにはどう対処するのか、などをきちんと把握しておきましょう。
難病に理解のある職場に就職する方法
障害者トライアル雇用事業を利用する
障害者トライアル雇用とは、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介によって、難病や障害を持つ方を一定期間雇用し、雇用の機会を増やす取り組みのことをいいます。
導入する企業は、障害者の雇用に対する不安を払拭できることから、トライアル雇用を導入する企業は年々増加しています。
難病を持つ方にとっても、あらかじめ業務内容を確認したうえで継続を判断できるなど、メリットのある制度と言えます。
地域障害者職業センターでのリハビリを受ける
地域障害者職業センターは、難病や障害を持つ方に対して専門的な職業リハビリテーションを提供する施設です。
全国の都道府県に最低1か所ずつ設置されており、ハローワークや医療・福祉施設と連携しながら、個別の職業準備支援・職場適応援助者(ジョブコーチ)支援などを行っています。
障害者就業・生活支援センターに相談する
障害者就業・生活支援センターとは、難病を持つ方が職業生活において自立できるよう、就業面・生活面における一体的な支援を行う機関のことです。
地域障害者職業センターが専門的な就労支援を目的としているのに対し、障害者就業・生活支援センターは就労支援と合わせて生活面での支援も目的としています。
就労移行支援事業所に通所する
就労移行支援事業所では、一般企業への就職を目指す障害や難病のある方に向けて、就労・定着をするための支援を行っています。
就労移行支援の主な支援内容は、以下の5つです。
①生活習慣改善のサポート
②メンタル面のケア
③専門スキルの講習
④実際の就職活動の支援
⑤職場定着支援
事業所によっては、専門スキルのカリキュラムに注力をしているところもあり、業務で活かせるスキルだけでなく、資格の取得までサポートをしてくれる事業所も少なくありません。
実際の就職活動の支援では、履歴書の添削や模擬面接だけでなく、就職先の候補を一緒に探してもらうことも可能です。
また、就労までの支援と一体となって、就職後の職場定着の支援を行っています。
職場定着の具体的な支援内容としては、定期的な面談の他に、就職先で困りごとがあったときに、企業と利用者の間に入り、仕事や人間関係の悩みを解決するためのサポートが受けられます。
相談は無料ですので、気になった事業所に一度、問い合わせてみることをオススメします。